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とりあえず、Bluesky始めました

映画「地獄の花園」

Netflixが、映画「地獄の花園」を勧めてきた。特攻服を着た女子達の闘争を描いた話のよう。あんまり興味のない分野だが、Netflixが勧めてくるには理由があるはず。

 

OLの世界には派閥がある。誰と誰が付き合ってるだの、誰が誰に媚びてるだの、新人が無能だの、派遣がお荷物だの、不毛な情報交換で自然と築かれていく派閥。しかし、この映画においての派閥は、そんなもんじゃない。普通に喧嘩の強さで築かれていた。

 

・・・冒頭数分でピンと来た。そして、作品の詳細を確認し、なぜこの映画が勧められたか判った。

 

脚本:バカリズム

 

なんかね、OLの描き方が独特なのだ。派閥争いをするOL達は、漢字の刺繍が入った特攻服を着て、奇抜な髪型にメイク、ガラの悪い喧嘩言葉をぶつけ合う、いわゆる不良。なのに、給湯室を出る時には「最後の人は換気扇オフにして」とか、OLらしい面がそこかしこに散りばめられていて笑える。派閥争いとは無縁のカタギのOL達は、可愛いゆるふわ女子達で、ランチの話題もリアルなほどしょうもない。「じゃがいもは炭水化物だよ」「野菜じゃないの?」みたいな。

 

ツタンカーメンみたいなメイクの朱里(菜々緒)、昭和のスケバンみたいな紫織(川栄李奈)、パンチパーマの悦子(大島美幸)がそれぞれの一派を率いて対立。そこへ、中途採用で入社してきた蘭(広瀬アリス)が、次元の違う喧嘩力で無双し一気に頂点を取る。そんな物騒な争いとは無縁のゆるふわOL生活を送る直子(永野芽郁)。この蘭と直子が仲良くなる。不良と真面目ちゃんのよくあるコンビ。

 

会社の頂点に立った蘭は、他社のOL達にも絡まれる。他社のOL達には、芸人、俳優、モデル、タレントとさまざまな人達がキャスティング。中でも異様な存在感を放っていたのは、株式会社トムスンの一派。リーダーに遠藤憲一さん、それを支える三銃士に勝村政信さん、松尾諭さん、丸山智己さん。全員男性だが、普通にOL役。この一派にも、ちゃんとOLらしいシーンがあってウケた。給湯室での会話みたいなものを、バカリズムさんは何故そこまで細かく描けるんだろう。前世はOLだったのかな。そして、トムスン一派との闘争に蘭が負け、その窮地を救ったのが・・・なんと、直子だった。

 

直子は、亀田三兄弟みたいな兄達の間で育ち、実は喧嘩が強かった。蘭が意外な形で闘争に敗れたことで、隠していた才能を覚醒させ、一人でトムスン一派を討伐。最強だと思われた蘭をはるかに超える力を開花させるが、それを知った蘭は失意のどん底に。会社から姿を消し、山奥に住む日本最初のOLのもとで修行に打ち込み、OLの何たるかを叩き込む。そして、直子に決戦を挑む。

 

蘭と直子の喧嘩は、まるで格闘ゲームのよう。広瀬アリス永野芽郁が、宙を舞い、ソニックブームのような衝撃波を繰り出し、激しく殴り合う光景は、コメディを超えたスペクタクル。結局、蘭は直子に勝てなかった。ボロボロになった蘭は、駆けつけた彼氏(同僚社員・森崎ウィン)に抱きつき、「喧嘩しか取り柄がないのに、負けちゃった」と泣く。彼氏は、「喧嘩なんか弱くていいんだよ」と蘭を抱きしめる。彼に密かに憧れていた直子は、その光景に静かに完敗を悟る。

 

OLの勝負って、喧嘩の強さでもなく、仕事の出来でもなく、リア充かどうかで決まるようなところあるよね・・・と、最後の最後に脱力する、お見事なストーリーだった。っていうか、OLが喧嘩なんかしないんだけどね。