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家から出たくない

映画「カラオケ行こ!」

Netflixで映画「カラオケ行こ!」を鑑賞。ひょんなことから中学生とヤクザがカラオケに行く映画だと聞けば、当然笑えるだろうと思って気楽な感じで観た。意外にも泣けた。

 

ヤクザの成田狂児は、組長主催のカラオケ大会を恐れていた。一番歌が下手だった者は、組長から変な刺青を彫られるという罰ゲームがあるからだ。どうしても歌がうまくなりたい狂児は、中学生合唱コンクールで合唱部部長の岡聡実に声をかける。カラオケボックスに誘い、X JAPAN「紅」を熱唱し、評価と指導を仰ぐのだが・・・

 

成田狂児を演じるのは綾野剛さん。しょっぱな披露した「紅」は、冒頭の絶叫こそ迫力があったが、あとはずっと裏声という弱々しい歌唱力。聡実からは、声の高さに合った歌を選べとアドバイスされるが、どうしても「紅」を歌いたい。聡実は、歌詞の英語部分を日本語訳し、二人で「紅」の歌の意味を味わう。私もよく知らなかったので、そういう歌詞だったのか・・・としんみり。狂児がこの歌にこだわる理由が何かあるのか・・・無いのか・・・ま、とにかく、二人はどんどん仲良くなっていく。

 

聡実は、変声期を迎えていて、合唱でソプラノを務めることに限界を感じていた。部活にも身が入らず、真面目な後輩に責められたりもするが、両親や先生は深く踏み込まず、やんわりと支えている感じ。おかんがヤイヤイうるさいと、見てるこっちもイライラするが、そこは坂井真紀さんのちょうどよく力の抜けた感じがよかった。呑気そうな合唱部の先生は芳根京子さん。頼りない感じに見えたが、実は聡実の異変にも気づいていて、静かに根回ししていた。大人は、これぐらいの子供を見えない力で支えるのがちょうどいい。

 

狂児のカラオケ大会は、聡実の部活最後の合唱大会と同じ日。バスで会場へ向かう聡実は、いつものカラオケボックスにパトカーが集まっているのを目撃。大破した狂児の車、血まみれになって担架で運ばれる男・・・

 

中学生男子の成長と苦悩、狂児と聡実のおかしな絆、ヤクザ達のコミカルな言動、そしてクライマックスの聡実の渾身の歌。笑いと涙と「紅」の魅力が詰まった映画だった。不満点を一ついえば、ガラの悪い人達の舞台って大阪にされがちだけど、ヤクザなら神戸が本場でしょ。さすがに、それはできんのか。